4. 顕微鏡観察で
重要になるパラメータ
顕微鏡観察に関与する
物性パラメータ
物質 | 厚さ | 屈折率nD (589 nm) |
自家蛍光 | アッベ数 |
---|---|---|---|---|
ibidi ポリマー カバースリップ biTreat、Uncoated、 およびBioinertを含む |
#1 .5
(180 μm +10/-5 μm) |
1 .52 | 低 | 56 |
ibidi ガラスカバー
スリップ・D 263 M |
#1 .5H
(170 μm +/-5 μm) |
1 .52 | 低 | 55 |
市販のカバーガラス |
#1 .5
(170 μm +20/-10 μm) |
1 .52 | 低 | 55 |
ポリスチレン (一般的な培養用 ペトリディッシュ、 フラスコ) |
様々 (通常は1 mm) |
1 .56 | 高 | 53 |
カバースリップの厚さ
カバーガラスの厚さは、画像クオリティーに影響を与える重要なパラメータです。厚みが異なる場合、球面収差および色収差の影響を考慮し、対物レンズの補正環を調整する必要が生じます。顕微鏡観察に用いる対物レンズのほとんどは、標準カバーガラスの規格 0.17 mm(170 μm+20/-10 μm,#1.5)に併せた仕様となっています。
ibidi ポリマーカバースリップも、この規格に適合できるよう厚さ180μm(+10/-5 μm、#1.5)で作られており、顕微鏡観察のための理想的な条件を提供しています。
マイクロ・ディッシュ35mm high、 マイクロスライド 2 ウェル 、 4ウェル 、 8ウェル 、 および マイクロスライド 2 ウェルPh+ | 4ウェルPh+では、 厚さ170μm(+/-5 μm)のカバーガラスボトム#1.5Hも利用できます。
開口数
開口数(NA)は、その分解能と明るさを規定する顕微鏡の対物レンズにとって重要な値です。対物レンズの一定距離における観察対象に対して集光できる能力を現し、分解能に関与する単位となります。開口数が大きいほど、対物レンズによる分解能は上がり、取得する画像の解像度は高くなります。(開口数はどの対物レンズにも記載されており、確認することができます。)
開口数(NA)は、以下の式で定義されています。
:NA = n sin θ
n = レンズを使用する媒質の屈折率 (例: 浸油オイル用1.52)
θ = レンズに入射する光の最大角
ドライで使用する対物レンズの、最大NAは~0.95です。液浸対物レンズを使用した場合、この値は、最大NAは約1.4まで上昇します。
「顕微鏡技術と培養表面:完璧な組み合わせを見つける」もご参照ください。
屈折率
- 物質
- 屈折率nD
- 真空
- 1
(定義による)
- 空気
- 1 .0003
- 水
- 1 .33
- グリセロール
- 1 .47
- イマージョンオイル
- 1 .52
- ガラスカバースリップ
- 1 .52
- ibidiポリマーカバースリップ
(ibiTreat、Uncoatedおよび
Bioinertも含む) - 1 .52
屈折率nDは、特定の物質中の光の速さを真空と比較して現した値です。 屈折率はしばしば「光学密度」と呼ばれます。この値は、開口数(NA)を計算する上で重要です。
屈折率は次式で定義されます
: nD = c/η
c=真空中光の速度
η=特定の媒質内の光速度
また、屈折率は波長に依存する値です。基本的には、nDは、589 nmでの光学材料の屈折率を使用します。
ibidiポリマーカバースリップの屈折率は1.52です。この値は、ガラス(カバースリップ)、対物レンズ、油浸オイル同様の屈折率になります。
分散/ アッベ数
分散とは、波長に依存する屈折率の変動度合いを意味します。したがって、分散は色収差に関与します。
光学材料中の分散性はアッベ数を用いて定量します。3種類の異なる波長の屈折率より算出します。アッベ数が高い材料であれば、異なる波長の屈折率がほぼ同じとなり、波長に依存する光の分離が減少します。
このため、アッベ数が高い材料ほど色ばらつきが少なく、色収差の小さい顕微鏡観察のための優れた光学的品質が提供できます。
一般に、高分解能顕微鏡観察には、アッベ数が55以上の材料が適しているとされます。ibidi で使用している、ibidiポリマーカバースリップのアッベ数は56、D 263 MのSchottホウケイ酸ガラスのアッベ数は55です。
透過率
光の透過率は、特定波長の光が通過できる割合を示しています。顕微鏡観察において、カバースリップの透過率は高いほど、蛍光励起や画像取得に寄与することが少なくなります。ibidi ポリマーカバースリップは、様々な波長において、高い透過性を有し、多様な顕微鏡アプリケーションに対応します。
自家蛍光
自家蛍光は、目的の蛍光分子とは異なる物質が潜在的に有する、物質固有の蛍光のことです。自家蛍光は、イメージングにおいて、ノイズまたはバックグラウンドの原因になります。自家蛍光は、微弱な蛍光シグナルを観察する際に特に問題になります。すべての物質および培地はある程度の自家蛍光を示しますが、その強度は、物質の種類によって異なり、励起/蛍光波長などにも依存します。