KAPA HyperCap DS NHL Panel

KAPA HyperCap DS NHL Panel

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悪性リンパ腫の高感度遺伝子変異モニタリングパネル

本パネルはKAPA HyperCap Design Share Panel(プレデザインパネル)の一つで、非ホジキンリンパ腫(NHL)の血中ctDNAを次世代シーケンサーにより高感度に検出し、経時的な解析を行うための研究用パネルです。

非ホジキンリンパ腫 (NHL)とは?

非ホジキンリンパ腫 (NHL) は最も一般的な血液悪性腫瘍の 1 つであり、 2020 年には世界中で 544,000 人の新規症例と
260,000 人の死亡を引き起こしたと推定されています。 *1 *2

リンパ系腫瘍の診断方法には様々なものがありますが、治療中および治療後のモニタリングも重要となってきており、
非ホジキンリンパ腫の状態をモニタリングする上でcfDNA/ctDNAは重要なバイオマーカーとして知られるようになりました*3*4

特長

  • 本パネルはNHLに関連する383遺伝子(遺伝子全体または一部)と追加の遺伝子間領域の合計341 Kbをカバーしています。
  • ハイブリダイゼーションをベースとしたKAPA HyperCap ワークフロー*5と、オープンソースのバイオインフォマティクス解析ツール*6を
    組み合わせて使用します。遺伝子変異の高感度検出と経時的解析を目的とするため、主にSNVを検出するようデザインされています。

高感度なctDNAモニタリングを自施設で

  • 新しいNHL臨床研究を開始可能
  • さまざまなNHLサブタイプに
  •  柔軟な対応(改変)とデータの蓄積でNHL研究を前進

大規模研究*7で実証された独自のパネルデザイン

  • 学術研究者やロシュの科学者による10年以上にわたる研究開発を踏襲した実験系*5
  • 1,000以上の検体での解析実績*7
  • proof of principleデータ *5,*6からのインサイト

シンプルで信頼性の高いワークフロー

  • 堅牢なKAPA HyperCap ワークフロー*5を使用
  • 研究ニーズに応じてカスタマイズ可能なオープンソースの解析パイプライン*6
  • 自動化に適したワークフローでスケールアップが容易

ワークフロー

図 1. 微小残存病変(MRD)解析模式図

MRD解析は3つのステップで構成されます。まず健常者のcfDNA検体を用いてSNVブロックリストを作成します。
次に、ベースライン検体(T0)からレポーターリスト作成します(血漿検体と血漿除去後検体での差分とSNVブロックリストの除外)。
最後に、フォローアップ検体(TN)の血漿検体でctDNA陽性または陰性を判定します。

表1. 人工的に調製したcfDNAリファレンス検体を用いた経時的な変異検出解析結果



レポーターバリアントは全てのTN検体で検出されましたが、AFが低いほどサポートリードがゼロではないレポーターバリアントの数は減少し、
また、変異を含むリード数も減少しました。
TN検体でのctDNA陽性/陰性を判定するためのモンテカルロ p値*8,*9のしきい値は、AF 0%検体で観測された最も低い値である0.003に設定しました。
AF0.5%、AF0.1%、AF0.05%では全ての反復実験でctDNA陽性と正確に判定されました。
AF0.01%では、6回の反復実験のうち5回でctDNA陽性と判定されました。AF 0%検体では全ての反復実験で陰性と判断されました。

信頼性の高いKAPA HyperCapワークフロー*7の活用


KAPA NHLパネルでは血漿 (Plasma cfDNA ワークフロー) と 血漿除去後検体( gDNA ワークフロー)の両方を使用します。
実験操作手順や必要試薬の詳細はLongitudinal detection of non-Hodgkin lymphoma ctDNA white paper* 5をご参照ください。

■NHL 血漿ワークフローと必要試薬:KAPA HyperCap cfDNA Workflow v1.1

品番 品名
07247737190 コバス DNAサンプル プレパレーションキット(cfDNA)
09217193001 KAPA NGS FFPE DNA QC Kit ※
KK8502(7962347001) KAPA Hyper Prep Kit
KK8007(8963835001) KAPA HyperPure Beads (5 mL)
9329838001 KAPA UDI Primer Mixes, 97-192
9329862001 KAPA Universal UMI Adapter, 960 µL
09075780001 KAPA HyperCapture Bead kit
09052593001 KAPA HyperChoice MAX 3Mb T1(IRN:10000028225)
09075810001 KAPA HyperCapture Reagent kit
09075879001 KAPA Probes resuspension buffer

※KAPA NGS FFPE DNA QC Kitに含まれるプライマーは使用せず、下記プライマーをご自身でご用意ください。

 ・forward primers 66F: 5'-TTGCGGAAGTCAGTGTGG-3'
 ・forward primers 330F: 5'-CAAACAACCCCATCAAAAAGTG-3'
 ・reverse primer, 5'-GATGGCTGGGTCAAATGGTA-3'

■NHL 血漿除去後(gDNA)ワークフローと必要試薬:KAPA HyperCap Workflow v3.5

品番 品名
09189823001 KAPA NGS DNA Extraction Kit
KK8512(7962401001) KAPA HyperPlus Library Preparation Kit
KK8502(7962347001) KAPA Hyper Prep Kit
KK8007(8963835001) KAPA HyperPure Beads (5 mL)
9329838001 KAPA UDI Primer Mixes, 97-192
9329862001 KAPA Universal UMI Adapter, 960 µL
09075780001 KAPA HyperCapture Bead kit
09052593001 KAPA HyperChoice MAX 3Mb T1(IRN:10000028225)
09075810001 KAPA HyperCapture Reagent kit
09075879001 KAPA Probes resuspension buffer

パフォーマンスデータ

高いシーケンス品質

  • 十分なユニークdepth(5,000x以上:図2A):高感度なctDNA検出
  • 高い特異性(全データの74%以上がターゲット塩基:図2B):効率の良い解析
  • 低いエラー率(約2.5x10-4:図2C):結果への信頼性

図2. KAPA NHLパネルのシーケンシングメトリック

模擬NHL検体として、0%から5%のアレル頻度(AF)のバリアントを含むように市販のcfDNAリファレンス検体(検体1、検体2)を人工的に調製し、
KAPA NHL Plasma cfDNAワークフローの手順に従いNGSライブラリー作成及びエンリッチメントを行いました*5。
イルミナ社のNextSeqTM 500/550の1ランで8検体のシーケンシングを実施して1検体あたり平均8,800万以上のリードを取得し、
オープンソースのバイオインフォマティクスツールを使用してデータ解析を行いました*6。
Unique molecular identifiers(UMI)による重複分子の除去後のメディアン解析リード数は、検体1で44M、検体2では33Mでした。
これはそれぞれ6,100x及び5,000xのユニークdepth(メディアン値)に相当しました。
高い再現性で主要な性能メトリックを十分に満たすことが示され、 KAPA NHLパネルにより効率良くシーケンスできることを示唆しています。

信頼できるバリアントコール

  • 0.5% AFのバリアントも高感度で再現性良く検出(図3)
  • ⾼い特異性でのバリアントコール*

図3. 0.5%、1%、5% AFのバリアントを再現性良く高感度に検出

人工的に調製した検体で感度と再現性の検証を行いました。ジャームラインバリアントの検出感度を評価するために、NA24631(98%)と
NA24149(2%)のゲノムDNAを混合して1% AFを調製し、KAPA NHL gDNAワークフローを実施しました。青いドットは反復実験での結果を示しています。
その結果、1% AF(真陽性のSNV)10か所全てを8回の反復実験のいずれにおいても検出しました。
ctDNAバリアントの検出感度の評価として、市販のcfDNAリファレンス検体(検体1、検体2)で0.5%または5%AFを調製し、
KAPA NHL Plasma cfDNAワークフローを実施して検証しました。
この結果、予想されるSNV(検体1ではSNV3か所、検体2ではSNV12か所)の全てが、全ての反復実験(検体1は2回、検体2は4回)で検出されました。

*KAPA NHLパネルが高い特異性でバリアントコールできることは次の検証により示されました。
NA24149とNA24631の混合ゲノムDNAを用いた検証実験において、8回の反復実験全てで、53か所の全てが真陰性(TN)と判定されました。
また、変異を持たないと仮定する23名の健康なドナー検体を用いた検証実験では、10Kbあたり0.06個というレベルでのみバリアントが検出され、
バリアントコールのエラー率が非常に低いことが示されました。

ターゲット遺伝子

KAPA HyperCap DS NHL パネルの総キャプチャーサイズは 341 Kb 。
383遺伝子(完全または一部カバー)に加えて、追加の遺伝子間領域もターゲットとしています。

  • 専門家が選択した遺伝子や領域を1つのパネルにすることで、複数のNHLサブタイプに対応
  • ctDNA検出、MRD解析、細胞起源決定のような様々な研究に応用可能
  • 予後バイオマーカーとしてのctDNAを検証した第3相POLARIX研究*7で使用されたパネルデザイン

すべてのgene listは>>こちら

仕様

  • ターゲットサイズ:341 kb
  • ターゲット遺伝子:383遺伝子(完全または一部)
  • 必要検体:全血:血漿+血漿除去後検体(各30 ng cfDNA+100 ng gDNA)
  • 保存温度:受領後–15℃~–25℃/溶解後–15℃~–25℃(※1)
  • 使用期限は、凍結乾燥または再懸濁の状態で、ラベル記載に準ずる(製造より36ヵ月)
  • プローブデザインファイルはドキュメントタブにある「技術資料」からダウンロードをお願いいたします。

※1
・KAPA Target Enrichement Probesは凍結乾燥された状態で提供されます。
・再懸濁にはKAPA Probes Resuspension Bufferをご使用ください。
・溶解/再懸濁後にはプローブを1回ごとの使用量に分注し、-15℃~-25℃で凍結することをお勧めします。

リファレンス

*1. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/all.html. Accessed 22 June 2023

*2. Lou J. Craver A. Bahl K. et al. Etiology of non-Hodgkin lymphoma:A review from epidemiologic studies. JNCC 2022:2(4).226-234. 
doi:10.1016/j.jncc.2022.08.003.

*3.Scherer F, Kurtz, DM, Newman AM, et al. Distinct biological subtypes and patterns of genome evolution in lymphoma revealed by circulating tumor DNA.
Sci Transl Med 2016;8(364),364ra155.
doi: 10.1126/scitranslmed.aai8545.

*4.Fernández-Miranda I, Pedrosa L, Llanos M, et al. Monitoring of Circulating Tumor DNA Predicts Response to Treatment and Early Progression in
Follicular Lymphoma: Results of a Prospective Pilot Study. Clin Cancer Res 2023;29(209 – 220).
doi: 10.1158/1078-0432.CCR-22-1654.

*5. Bermejo C, Agarwal P, Chien R et al. The KAPA HyperCap Design Share NHL Panel enables highly sensitive,
longitudinal detection of non-Hodgkin lymphoma circulating tumor DNA. Roche white paper. MC-US-13745.

*6.Chien, R. KAPA bioinformatics analysis for longitudinal detection of circulating tumor DNA. Roche white paper. MC--12095.

*7. Herrera et al. Risk Profiling of Patients with Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL) By Measuring Circulating Tumor DNA (ctDNA): Results from the POLARIX Study. Blood 2022; 140 (supplement 1): 1297-1300. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35086141/

*8.Newman AM, Lovejoy AF, Klass DM, et al. Integrated digital error suppression for improved detection of circulating tumor DNA.
Nature Biotechnol 2016;34(547 – 555).
doi: 10.1038/nbt.3520.

*9.Alkodsi A, Meriranta L, Pasenen A, Sirpa Leppä. ctDNAtools: An R package to work with sequencing data of circulating tumor DNA. bioRxiv 2020.01.27.912790.
doi: 10.1101/2020.01.27.912790.

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