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ibidiポンプシステム製品ガイド

ライブセルイメージングに特化した製品の開発を行っているドイツ ibidi社。
同社が多くの導入実績を誇る、灌流実験用の細胞観察システム ibidi ポンプシステムについて詳しく解説いたします。

ibidiポンプシステム
製品ガイド

ライブセルイメージングに特化した製品の開発を行っているドイツ ibidi社。

同社が多くの導入実績を誇る、灌流実験用の細胞観察システム ibidi ポンプシステムについて詳しく解説いたします。

製品画像
01

ibidiポンプシステムとは?

1. 製品概要
  • 培地を灌流(フロー)させながら細胞を生育、観察できる装置です。
  • 独自の流体(Fluidic)ユニットを使用する培地循環ポンプシステムは、途切れなく"長期間"かつ"一定方向"に培地を灌流させることができます。
  • 一方向定常流(層流)のほか、セッティングを工夫することで様々な流れのタイプ(パルス、振動流)もコントロール可能。
  • シェアストレスを付与できるため、血管の模倣など生体内に近い環境で細胞を培養することが可能です。
  • インキュベーター中で使用できるので、培養環境を維持しやすく、長期培養にも適します。
  • ポンプに接続できる細胞培養用容器として様々な用途の専用スライド(ibidi社製チャネルスライド)が用意されており、流量、シェアストレスなどの物理パラメーターは数値を入力するだけで容易にコントロールできます。
  • ヒーティングシステム(別売)との組み合わせで、培養しながら顕微鏡観察することもできます。
ibidiポンプシステム
  • ポンプに接続できる細胞培養用容器として様々な用途の専用スライド(ibidi社製チャネルスライド)が用意されており、流量、シェアストレスなどの物理パラメーターは数値を入力するだけで容易にコントロールできます。
  • ヒーティングシステム(別売)との組み合わせで、培養しながら顕微鏡観察することもできます。
2. ibidiポンプシステムの原理

システム概要

ibidiポンプは下図の各パーツからなる灌流培養システムです。
制御システム(Computer)および動力部(Pump)と培養部(Fluidic Unit)が独立した構造をしており、培養部はインキュベーター中で使用可能です。
このため、培養環境の維持がしやすく、長期培養にも適します。
また、リザーバーの培地を一方向に供給し、消費していくシリンジポンプとは異なり、ibidiポンプは独自の培地循環ポンプシステムが採用されています。
この循環式システムは、決まった培地量を効率的に灌流できるので、経済性が高く、かつリザーバー容量に依存した時間制限も受けない灌流培養を可能にしています。

ibidiポンプシステム構成図

循環流の原理

ibidiポンプは、流体ユニットのリザーバーに加圧空気(青色)を供給します。これにより培地が移動し、μ-Sliderのチャネル内に流れが生じます。培地(赤色)は、取り付けられた灌流セットのリザーバーとチューブ内を移動するだけであり、バルブには接触しないため、無菌性が維持されます。
流体ユニットのアクティブコンポーネントは、2つのスイッチングバルブV1とV2から成り、バルブV1は空気圧をリザーバーAまたはBに送り、リザーバー間で培地を往復させます。
バルブV2は同時に切り替えられ、チャネル内で一方向の灌流が確保されます。灌流セットのバルブV2内の交差チューブにより、培地は常にチャネル スライドの同じ末端に送られます(矢印を参照)

循環流の原理図
3. ibidiポンプシステムで作り出すことのできる流れ

ibidiポンプシステムでは定常流だけではなく、
パルス流、振動流など、流れのタイプも
コントロールすることができます。

タイプ 生理学的発生条件 流量 流れの方向 ibidiポンプ/スライドによる生成
層流 層流 健康な血管のいるところで発生 Yes
一方向層流 一方向層流
(定常流)
健康な小血管で発生 一定 Yes
パルス層流 パルス層流 動脈血管において心拍によって
引き起こされる
定期的に
変化
一定 Yes
振動流 振動流 乱流をシュミレートする手段として利用 一定 定期的に
変化
Yes
乱流 乱流 病態生理的プロセスの中で発生 変化 No
4. ibidiポンプシステムのメリット

灌流ポンプシステムにはいくつかの種類があり、
それぞれに異なる特性があります。
ibidiポンプシステムは、高い送液安定性しながらも
長期間細胞培養にも適応できる点で優れています。
また、顕微鏡観察用途にデザインされており、
研究ツールとして扱いやすい点もメリットになります。

シリンジポンプ ペリスタポンプ ibidiポンプシステム
送液安定性 安定(初期パルスで発生) 不安定(ドライシャフトを用いるロータータイプでは送液が脈動する) ほとんどなし
(バルブ作動中のみ発生)
培地とともに非接着性細胞を
流した場合の細胞へのダメージ
ほとんどなし
(沈殿が問題になる場合があり)
送液する際に細胞が潰される 低い
顕微鏡観察 培地が脈動するため困難
インキュベーター内
でのセットアップ
難しい 難しい
低ボリュームでの
長期実験
不可
プログラム可能
02

ibidiポンプシステムでできること

ibidiポンプは様々な専用スライドが用意されており、
それらと組み合わせることで、
灌流下で行う様々な実験に適合可能です。

1.培養細胞に対するシェアストレスの付与

上皮細胞や血管内皮細胞など生体内の多くの細胞は、液体の流れの中で存在し、絶えずシェアストレスにさらされています。
ibidiポンプは、培地を灌流することで培養細胞に対しシェアストレスを付与できます。

ibidiポンプシステムで使用できるチャネルスライド

ibidiでは、いろいろなシェアストレスや流路を可能にするために、様々なチャネルスライドを提供しています。チャネルスライドのチャネル高を変えることで、流路径を選択できる他、Y字スライドなど血管分岐をイメージしたスライドまで幅広いラインナップが用意されています。

スライド別チャネルの高さ 0.1mm 0.2mm 0.4mm 0.5mm 0.6mm 0.8mm
ib80166 ib80176 ib80186 ib80196
ib80167 ib80177 ib80187 ib80197
ib80316 ※
ib80126
ib80666 ib80606 ib80607
長期培養 Static cultivation for long time
シェアストレス High shear stress                                               Low shear stress

※ibidiサイトに移動します。

特に、より体内の臓器や組織に近い培養環境の再現するためにデザインされたスライドも用意されており、
これらを使用することで、さまざまな生体内模倣実験ができます。

事例1

μ-Slide I Luer 3D を使用した血管内皮の模倣

ゲルマトリクス上の細胞にシェアストレスを付与するためにデザインされたμ-Slide I Luer 3Dを使えば、
血管シミュレーション研究に使用できます。
1

血管バリア機能の研究

血管内皮細胞は互いに接着し、バリアを形成することで、
物質の透過性を調整しています。
この内皮バリアを模倣することができます。
血管バリア機能の図
2

細胞極性実験

ゲルマトリクスに接する面とシェアストレスにさらされる面ができ、
細胞に極性が生じます。
細胞極性実験の図
3

ローリングアドヘジョンアッセイ

浮遊細胞を流流させる実験。
ローリングアドヘジョンアッセイ図1
内皮細胞層と浮遊細胞の共培養を使用した
ローリングアドヘジョンアッセイ
ローリングアドヘジョンアッセイ図2
オプションとして、
細胞外マトリクス内に標的細胞を播種した例
事例2

µ-Slide ibiPore SiN を使用する界面を有した培養系構築

µ-Slide ibiPore SiNを用いれば、メンブレンで隔てたられた区画により、
共培養用系構築から気液界面を備えた肺を模倣した実験系の構築まで様々な系が構築できます。
1

内皮バリアアッセイ

内皮バリアアッセイ図1
下部チャネルにおける単層培養
内皮バリアアッセイ図2
単層培養した細胞へ
シェアストレスを付与
内皮バリアアッセイ図3
上部チャネルにおける単層培養
2

共培養バリアアッセイ

共培養バリアアッセイ図1
上部と下部チャネルで異なる細胞を培養
3

頂端/基底膜細胞極性アッセイ

頂端/基底膜細胞極性アッセイ図1
上部チャネルに培養ゲルを作成/
下部チャネルで単層培養
頂端/基底膜細胞極性アッセイ図2
上部チャネルで3D培養/
下部チャネルで別の細胞を単層培養
4

膜間移動実験

膜間移動実験図1
膜で隔てられた領域を
移動する白血球
膜間移動実験図2
下部チャネルに作成した上皮バリアを
移動する白血球

µ-Slide Membrane ibiPore Flow
(孔径3 µm)の
下部チャネルに播種された
移動中のヒトHL-60細胞のタイムラプス動画

タイムラプス動画
5

気層/液相界面実験→ 肺や肌の細胞生育環境を再現

気層/液相界面実験→ 肺や肌の細胞生育環境図1

µ-Slide Membrane ibiPore Flow(孔径3 µm、5%多孔率)で
A549肺細胞(腺癌のヒト肺胞基底上皮細胞)を
気層/液相界面培養した例

気層/液相界面培養図1
上部チャネル(気層)に播種した細胞
気層/液相界面培養図2
下部チャネル(液相)に播種した細胞

データ:Dr. Anita Reiser, Chair of Prof. Rädler, Ludwig-Maximilians-University Munich(位相差顕微鏡で観察)

2.長期3D培養

灌流培養は物質の循環を良くすることができるため、物質が滞りやすい長期間の3D培養などに活躍します。
ibidi社では、ゲルを使用する3D培養およびスフェロイド(3D)培養それぞれの用途に応じた専用スライドが準備されており、
それらと接続するだけでibidiポンプシステムを使用する長期3D培養システムが構築できます。

長期3D培養図1
長期3D培養図2
事例1

µ-Slide III 3D Perfusion を使用した長期3D(ゲル)培養

1
ゲル内への播種
ゲル内への播種イメージ
2
ゲル上への播種
ゲル上への播種イメージ
3
ゲルを使用しない播種※培地の循環目的のみの使用
ゲルを使用しない播種イメージ
4
スフェロイド培養
2層のゲルによるサンドウィッチ
スフェロイド培養イメージ
5
組織培養
2層のゲルによるサンドウィッチ
組織培養イメージ
事例2

µ-Slide Spheroid Perfusion を使用したスフェロイド形成促進

スフェロイド形成促進図1

L929線維芽細胞のµ-Slide Spheroid Perfusion、Bioinertを⽤いたスフェロイド形成例
1~14⽇⽬、播種濃度5 x105シングルセル/ mL
左:灌流なし
右:イビディポンプシステムによる灌流、0.75 mL /分、位相差顕微鏡、10倍対物レンズ、ウェルφ800 μm

スフェロイド形成促進図2

µ-Slide Spheroid Perfusion、Bioinert、播種濃度5 x105細胞/ mLでのL929線維芽細胞のスフェロイド形成の⽐較

03
お客様の声
研究者アイコン1

灌流下での細胞培養が可能である

岡山大学大学院 医歯学総合研究科 システム生理学 森松賢順 様

ibidi 社のポンプシステムはインキュベーター内に設置できるため、灌流下での細胞培養が可能である。
また、従来の灌流システムに比べ、培地量が少ないこと、流量制御が正確であることが本システムの優れた点である。
複数台のポンプシステムを使用することで、網羅的な計測システムの構築が可能と考える。

研究者アイコン2

操作が思ったよりも簡単であった

愛媛大学プロテオ医学研究センター 媛大学大学院医学系研究科 井上博文 様、東山繁樹 様、鹿田文昭 様、泉谷裕則 様

ペリスタポンプと違って、安定したシェアストレスをかけられるのが、良かった。操作が思ったよりも簡単であった。
ゲル内での血管形成に対してシェアストレスがかけられるようなデバイスがほしい。
並列して異なるシェアストレスがかけられるようにしてもらいたい。
下準備も簡易であり、装置の操作手技自体も容易に習得可能です。
種々のシェアストレス条件下で細胞の形態の観察が可能であり、細胞を回収すればmolecularな手法でも検討可能です。
オーダーメイドのディッシュにも対応して下さり、感謝致しております。

研究者アイコン2

ibidiポンプシステムのおかげで、
フロー下での内皮細胞観察は当ラボの標準となった

Maastricht University, Maastricht, The Netherlands Dr. Nynke van den Akker 様

長年にわたりibidiポンプシステムとラボウェアを使用しています。
ibidiのプラスチック製品は、細胞培養やあらゆる種類のイメージングに最適で、自動イメージング(フォーカスが容易)ができ、さまざまな蛍光観察(透明で光学的に優れたプラスチック)に対応しています。

研究者アイコン2

工学の知識がなくても、in vitro で生理学的シェアストレスパターンを容易に研究できるようになった

Cardiovascular Division, BHF Centre of Research Excellence, School of Medicine, King’s College London, United Kingdom
Shane R. McSweeney 様

µ-Slide I Luerは、複雑な流動パターン条件下での内皮細胞の培養を容易にします。
私たちの研究では、シェアストレスが酸化還元シグナル伝達経路に及ぼす影響に関心を持っており、ibidiポンプシステムと流体ユニットはその実験に最適なシステムといえます。
µ-Slideは、生細胞と固定細胞の両方のイメージング、タンパク質やRNAサンプルの採取、その他の細胞分析に便利です。

研究者アイコン2

扱いやすく、大変気に入っている

Robert-Koch-Institute, Berlin, Germany Linah Ahad 様

ハンタウイルスは生体内で特異的に内皮細胞に感染し、この疾患は内皮細胞の機能不全を特長とします。
私たちの実験の目標の一つは、宿主指向性治療の観点からハンタウイルス感染症の治療における新たな薬剤標的を特定することです。
この目的のため、µ-Slide I Luer 0.6を使用しながら、ibidiポンプシステムを使用しています。ibidi製品は扱いやすく、大変気に入っています。

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