Q
Fastプログラムと通常のプログラムとの使い分けについてですが、 Fastプログラムは時間を短縮すること以外の目的がありますか? また、Fastプログラムにすることで生じるデメリットなどはありますか?
Fastプログラムにつきましては、基本的には時間短縮が主目的になります。
一方、デメリットとしましては、やはり反応時間が短くなることにより、Denature、Anneal、extension、各反応のうちでひとつでも充分な反応時間が確保できなくなると、増幅が悪くなる可能性があります。
ただ、このことにより、通常のプログラムで非特異増幅が出てしまうケースでは、Fastプログラムで改善できる可能性があります。
KapaSYBRFastの場合ですが、既に通常プログラムで実験系が確立しているようでしたら、まずはその通常プログラムでお試しいただき、「ターゲットの増幅が十分でも、非特異増幅も見られる」ようなケースでは、Fastプログラムを検討する、というステップが良いかと存じます。
また、新規で実験系をご検討される場合、まずはFastプログラムでお試しいただき、増幅が難しいようでしたら、各ステップの時間を長くして行き、プログラムを最適化する、という流れになるかと存じます。
(詳細補足)
一般的にリアルタイムPCRでは、もともとPCRが掛かり易くなるように、増幅しやすい領域で、200bp前後あるいはそれ以下の短いサイズでプライマー配列を選択しますので、その結果として「Fastプログラムが可能」ということになります。
また、Fastプログラムでは、ブロックから反応液に温度を伝える時間が短いため、反応液の容量自体も20μl前後あるいはそれ以下に減らす必要があります。(これは、逆に試薬量を減らす、というメリットに繋がります。)
使い分けのポイントをまとめますと、以下のとおりになります。
(Fastプログラム)
・多検体をルーチンで実施する場合(時間短縮・試薬量の削減)
・非特異増幅を回避したい場合
(通常のプログラム)
・通常のプログラムで増幅できることが分かっている場合
・増幅が難しいサンプルの場合(サイクルプログラムの最適化が必要な場合)
・テンプレート濃度が薄い、、、など、20uL以上での反応が必要な場合
対象シリーズ