1.3D細胞培養

HT‐1080 LifeActスフェロイドの共焦点レーザ走査顕微鏡を使用した三次元投影像 色は表面からの距離を示します。暖色= 表面に近く、冷色= 表面から遠く離れています。
生きている組織の大部分の細胞は三次元的な微小環境で成長し、相互にそして周囲とコミュニケーションをとりながら機能します。動物細胞はプロテオグリカンと繊維状タンパク質(主にコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン)からなる細胞外マトリックス(ECM)に埋め込まれています。この複雑で動的な組織特異的3次元構造は、細胞に物理的な足場を与え、細胞の分化や行動に影響します。
従来の二次元的なin vitro環境で培養すると、細胞は平面状(たとえば、標準的な細胞培養ディッシュの中の単層)に接着、増殖し、移動することができません。細胞を非接着性の表面上で浮遊培養するか、ECMを模倣した3Dマトリックス(マトリゲル®またはI型コラーゲンなど)中または上で培養するような三次元的in vitro環境の培養を3D細胞培養と言います。この3D細胞培養では、細胞は 3次元的に移動、増殖できる場が与えられます。


3Dゲルマトリックス中の細胞は、2D環境と比較すると、異なった挙動を示します。細胞の挙動、分化、薬物治療への反応、遺伝子やタンパク質の発現などを解析する際には、このことを考慮すべきであり、多くの場合、3D環境ではin vivo環境に近い挙動を示すことが知られています。
多くの細胞で3D培養が利用が検討されており、その一例として、腫瘍モデルとして不可欠であるスフェロイドやオルガノイドを使用した薬物スクリーニングなどがあります。