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FastGene Plasmid Mini Kitに関してですが、 このキットで精製したプラスミドを細胞株にトランスフェクションしようと考えております。 トランスフェクション試薬の取扱説明書には、プラスミド精製の際に endotoxinが混入すると導入効率が下がると記載されています。 このキットで精製したプラスミドにはendotoxinが混入するでしょうか?
まず初めに、FastGene Plasmid Mini Kitを使用した場合に限らず、「大腸菌から精製したプラスミドDNA」には、
endotoxinが含まれる可能性がございます。
ただし、使用する精製キットの精製原理などの違いにより、endotoxinが含まれるレベルは異なってまいります。
FastGene Plasmid Mini Kitなどのシリカメンブレンを用いたスピンカラム式の市販キットは、簡便に精製できる
反面、陰イオン交換カラム式のキットなどに比べますと、得られるプラスミドの純度が高くないため、
endotoxinが混入するリスクがございます。
なお、トランスフェクションに用いる細胞や条件によっては、本キットで精製したプラスミドでも問題なく
トランスフェクションが実施できる可能性もございます。(弊社でも実際に可能であることを確認しております。)
ですので、本キットで精製したプラスミドをトランスフェクションに用いる場合には、予備実験などであらかじめ
問題なくご使用いただけるかどうかご確認いただくことをお勧めいたします。
あるいは、このendotoxinの影響を可能な限り排除したい場合には、本キットよりも高純度にプラスミドDNAを
精製できる「陰イオン交換カラムによるプラスミド精製キット」であるFastGene Xpress Plasmid PLUS kitで
精製したプラスミドDNAをご使用いただくことをお勧めいたします。
(詳細)
エンドトキシンは、主にバクテリアの細胞壁を構成するリポポリサッカライドを指しておりまして、
「バクテリアである大腸菌からプラスミドを精製する」以上は、どのような精製手法を用いましても、
このエンドトキシンが混入するリスクがございます。
そして、細胞の種類によっては、このエンドトキシン(リポポリサッカライド)を毒素として感受性を示します。
この感受性のレベルは、細胞の種類やトランスフェクションの諸条件によって異なってまいります。
エンドトキシンが細胞に影響する場合、最終的にトランスフェクションの結果に影響を与える
可能性があります。
ですので、細胞を用いるトランスフェクションの際には、どのトランスフェクション試薬を用いる場合でも、
プラスミドの純度を考慮することが必要となります。
なお、精製したプラスミドDNAへのエンドトキシンの混入のレベル(プラスミドDNAの純度)は、
精製方法(精製キット)により異なってまいります。
以下は一般的なプラスミド精製キットの種類ですが、番号が大きいほど純度が高く、エンドトキシン混入の
リスク(レベル)が小さくなります。FastGene Plasmid Mini Kitは、(1)に該当します。
(1)シリカメンブレンを用いたスピンカラムによるプラスミド精製キット
⇒細胞や条件によっては、トランスフェクションに使用可能です。
PCRや酵素反応などには問題なくご使用いただけます。
(2)陰イオン交換カラムによる高純度プラスミド精製キット(トランスフェクショングレード)
⇒基本的にトランスフェクションに問題なく使用可能です。
(3)エンドトキシン除去の仕組みを加えた高純度プラスミド精製キット(エンドトキシンフリーグレード)
⇒エンドトキシンに特に感受性が高い細胞を用いる場合に適します。
トランスフェクションの難易度や、目的などに合わせて、適切な精製キットをご選択いただければ、と存じます。
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