マルチセルアレイ用マイクロパターンスライド (µ-Slide VI 0.4)
µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Pattern
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よくあるご質問26件
スフェロイドやオルガノイドをアレイするために最適な細胞接着用マイクロパターンが刻まれたスライド
特長
- マイクロスライド6(VI) 0.4に、直径100 µm、円形の、マルチセルアレイに理想的な細胞接着⽤パターン(マイクロパターン)が刻まれた製品
- 細胞播種する部分(チャネル)にはチューブを接続するためのルアーコネクターが備わっているため、ibidiポンプ等に接続することも可能
- このマイクロパターンを利用することで、スフェロイドやオルガノイドを培養面上で500 µmに並べることが可能
- 滅菌処理済み
- 使用前に、特別な処理を必要とせず、開封後準備なしで簡単に使⽤可能
- 染⾊用試薬や細胞固定液に対応
- ⽣体適合性の素材で構成されており、細胞生育を妨げない。
- マイクロパターンのデザインとして、シングルセル用(シングルセルアレイ用マイクロパターンスライド)、テスト用(テストアレイ用マイクロパターンスライド)もあり
- 容器の形状は、マイクロスライド 8ウェル high(ポリマーカバースリップ)もあり
マイクロパターニングテクノロジーの原理
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ibidiポリマーカバースリップに対し、ibidi独自の技術で細胞⾮接着性加工したものを、バイオイナート表⾯と呼んでいます。
このバイオイナートは、⼀般的な超低付着(ULA:Ultra-Low Attachment)表⾯よりも優れた細胞⾮接着性を有しています。
このバイオイナート表面に対し、フィブロネクチンの結合モチーフであるトリペプチドArg-Gly-Asp(Arginine, Glycine, Aspartate/ RGD)を共有結合させることにより、ごく小さい細胞接着パターンを刻む技術がibidiマイクロパターニングテクノロジーです。これにより、空間的に定義された細胞アレイを可能にします。
マイクロパターニングについて
- 極めて安定で、数⽇から数週間の⻑期培養でも効果が持続します。
- ibidiポリマーカバースリップ、バイオイナート表面の持つ光学性能を妨げず、高解像度顕微鏡観察に適合します。
- 蛍光観察画像や位相差顕微鏡観察画像に映らず、顕微鏡観察の邪魔になりません。
- 乾燥安定性があり、スライド表⾯は乾燥しています。
RGDパターン上で育つ細胞は?
マイクロパターニングに使用されているRGDトリペプチドは、細胞外マトリックスタンパク質であるフィブロネクチンに由来する配列です。
フィブロネクチンは、このトリペプチド配列を介して、多くの種類の細胞(例えば、がん細胞)の細胞外マトリクスへの接着を媒介しています。このため、フィブロネクチン上で成⻑する細胞は、高確率でマイクロパターンに接着します。
一方、フィブロネクチンやRGD上では増殖しない細胞は、うまく接着しない可能性もあります。
このために、ご使用する際には、まずトライアルパック (CatNo.ib83602S) をご購入いただき、ご使用予定の細胞が接着できるかご確認されることを推奨いたします。
<接着事例が確認されている細胞>
- A549 (ヒト肺癌)
- NIH-3T3 (マウス線維芽細胞)
- MC3T3-E1(マウス骨芽細胞様細胞)
- BEAS-2B (ヒト肺上皮細胞)
- CHO (チャイニーズハムスター卵巣)
- NCI-H441(ヒト肺腺癌)
- HEK-293 (ヒト胚性腎臓)
- HeLa (ヒト子宮頸部癌)
- HT-1080 (ヒト繊維肉腫)
- HuH-7 (ヒト肝癌)
- L929 (マウス繊維芽細胞)
- MCF-10A (ヒト乳房上皮細胞)
- MDA-MB-231 (ヒト乳癌)
- MDA-MB-436 (ヒト乳癌)
- MDCK.2 (イヌ腎臓細胞)
- RCC-26 (ヒト腎細胞癌)
- ARPE-19 (ヒト網膜色素上皮細胞)
アプリケーション
マイクロパターニングは、スフェロイドやオルガノイドなど3D細胞研究において、新規の強⼒なツールとなります。
既存技術に多くみられる技術として、底面が曲面のをウェルを使用し、⼀ウェルあたりスフェロイドを作成・培養する⽅法があります。この⽅法では、実験的なn数を稼ぐことに⼿間がかかる上、ウェルごとに⽣じる差が結果に⼤きく影響します。また、底⾯が厚いことが多く、⾼倍率の対物レンズを使⽤しての顕微鏡観察に対応できないことも⽋点です。加えて、湾曲したウェル底⾯は、顕微鏡観察時にフォーカス⾯を広くとることを困難にします。
マルチセルアレイ⽤マイクロパターンスライドでは、培養面上にあるスポット数に準じた個数のスフェロイドを一気に作成することができます(※)。平⾯かつカバースリップ厚で構成される底⾯は、顕微鏡観察において、⾼倍率対物レンズの使用とフォーカス⾯を広くとることを可能にします。このため、マルチセルアレイ⽤マイクロパターンスライドは、スフェロイドを顕微鏡で詳細に観察する際に活躍します。
※スライド上でスフェロイドを作成し、観察するだけではなく、形成済スフェロイドの播種や、播種する条件を調整することで、凝集のない状態(マルチセルのモノレイヤー)の観察にも使⽤できます。
- スフェロイド、オルガノイド、胚様体、および幹細胞などを含む、3次元細胞凝集体の培養
- 2次元展開(モノレイヤー)された細胞パッチの培養
- 上記のライブセルイメージングや免疫蛍光染色等
- トライアルパック (CatNo.ib83602S) を使用した、RGD結合モチーフへの細胞タイプの付着テスト
スフェロイドアプリケーション
NIH-3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)のスフェロイド形成 |
NIH-3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)のスフェロイド形成 |
セル・モノレイヤーアプリケーション
µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternに播種してから24時間後のRCC-26(ヒト腎癌)細胞の免疫蛍光染色 |
µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternに播種してから24時間後のRCC-26(ヒト腎癌)細胞の免疫蛍光染色 |
RCC-26(ヒト腎癌)細胞をµ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternで播種してから24時間後、2Dモノレイヤーのための低密度播種 |
ibidi Stage Top Incubatorを用いて、µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternで24時間培養したRCC-26(ヒト腎癌)細胞のライブセルイメージング |
仕様
マイクロスライド | スライドの形状 | |
---|---|---|
外寸(W×L) | 75.5×25.5 mm | |
チャンネルの寸法(W×L×H) | 3.8×17×0.4 mm | |
チャンネルあたりの容量 | 30 µL | |
マイクロパターン | 結合モチーフ | RGD |
パターンの形状 | 丸 | |
直径 | 100 µm | |
ピッチ | 500 µm | |
パターンの配置 | 六角形 | |
表面処理 | Bioinert | |
パターンの数 | チャネルあたり約300 |
マイクロパターンの形状
ご使用いただくオイルについて
【対物レンズ用の油浸オイル】
ibidi社で実際に適合が確認されているオイルをご使用ください。
(英語) https://ibidi.com/content/551-immersion-oils-compatible-with-ibidi-labware-products
ibidi社純正品:イマージョンオイル
*注意*
適合していないオイルをご使用の場合、プラスチックの接触部分がが白濁したり、脆くなったりする場合があります。
【培地蒸発防止用の重層用オイル】
ibidi ポリマーはミネラルオイルは適合しておりません。
培養培地にオイル重層される場合は、下記シリコーンオイルをご使用ください。
- ibidi Anti-Evaporation Oil #50051 (ibidi社のページへ移動します。)
- シリコーンオイルAR 200 #85419 (シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社のページへ移動します。)
*注意*
適合していないオイルをご使用の場合、プラスチックの接触部分がが白濁したり、脆くなったりします。
(条件により、変化が見られるまでに数時間~数日の時間差が生じる場合がございます。)